こんにちは。小田原のみかん農家、湘南ゴールド、下中たまねぎ販売の香実園いしづかです。

今日は(今日も!?)、みかんや湘南ゴールドや下中たまねぎの話ではなく、今日あった一つの出来事について書いてみたいと思います。

香実園、園主の石塚明は農家で、もちろん湘南ゴールドやみかんの柑橘類、下中たまねぎなどの野菜類、その他に米やキウイフルーツなども一生懸命栽培して販売しているのですが、小田原の地域の活動にも、積極的に参加しています。そのひとつとして、現在、小田原市消防団第22分団一班の班長を務める消防団の活動があります。

今日は、夜、他の班の「小型ポンプ操法」の練習があったので、お付き合い(一応、少し指導)に行ってきました。冬の夜で寒い中、農協の集出荷場を借りて、複数の班が来週末の近隣の社会福祉施設での「小型ポンプ操法」の披露のために練習をしました。

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ここで、消防団について全くわからないかたがいるといけないので、少し説明をさせていただきます。大雑把に言うと、消防団とは、各々が本来の職業をもちつつ、いざという時には、消火活動をしたり、災害に備えることをしたりする地域のボランティア団体です。
消防団員は準公務員ですが、本署の消防隊員が職業としているのとは異なり、あくまでも、任意の組織と言えるでしょう。そんな組織に属する私の団員生活も、もうかれこれ10年を迎えました。
小田原市は、比較的本署(消防署)がしっかりしているため、実際の火事の時に、消防団が消火活動の中心を担うことはほとんど無く、後方支援や後片付け、交通整理などをすることが現場での主な仕事になります。
その他には、地域の防災訓練での啓蒙活動などや、春、秋、歳末の火災予防のための巡回などが中心的な活動となります。

今日は、そんな中で、地域への啓蒙活動と自らの訓練の為の「小型ポンプ操法」の練習に行ってきたのです。みんな、限られた時間の中頑張って練習して、夜の9時ちょっと前に解散しました。

事件は、その帰り道で起こりました。

練習が終わり、積載車(小型の消防車)で、自分たちの班の詰め所(車が置いてある基地みたいなところ)へ帰る道中で、交通事故に出くわしたのです。
場所は、国道一号線から西湘バイパスに出入りする「橘インター」。
我々が一号線を走っていくと、3~4台の乗用車が、路肩に止まり、数名の人達が道路に立っていました。積載車をゆっくり走らせてT字路の交差点の様子を見ると、まさにその真ん中に人が一人倒れていました。傍らには、倒れた原付バイクも。

私と一緒に積載車に乗っていたのは、「応急手当普及員」の資格を持ち、他の人に指導も出来るほどのスキルを持つ、頼りになる大曽根前班長。急いで路肩に消防車を止めて、車から降りました。

まだ、救急車も警察も来ていません。現場にいる数組の若い人たちは、一見野次馬のようでもありますが、電話をしたり、道路の真ん中に立って、倒れている人が他の車に轢かれないように、身振り手振りで交通整理をしようとしたり、各々が、今、自分のできることをしようとしている様子でした。

自分達も、出来ることをしようと思いました。
まず、立っている若者に救急車を呼んだか、警察に連絡をしたかを確認しました。連絡をしている様子でしたので、大曽根前班長は、倒れているバイクの運転手とおぼしき男性のもとに向かい、片膝をついて加害者の男性と共に「大丈夫ですか」と話かけ、怪我などの状態を確認します。
私は、積載車から、誘導棒(工事現場でよく使われている光る棒)を出して、交差点の真ん中の倒れている男性の横で、車の誘導をしました。きっと「自分も何かしなければ」と思っている若者数人が道路に出ていて、地面に落ちている何かの破片を拾ったりして、逆に危険を感じたので、途中で歩道に戻ってもらいました。

土曜日ということもあるのか、交通量はほどほどにあり、路上に停めてある数台の車をよけながらインターに入ろうとする車と出る車、直進する車を誘導しました。
倒れている男性は、幸い意識はありこちらの問いかけにも応じていましたが、簡単には動けない様子で、救急車が到着するまでの数分間が、とても長く感じられました。
しばらくして救急車の音が聞こえました。
本職の救急隊員が来て、大曽根前班長は、状態の報告をして救急隊員に引き継ぎました。
救急車が交差点に停まって、現場で倒れている男性の手当てが始まったので、車の通れるスペースがより狭くなり、交通誘導は一層気が抜けなくなりました。
でも、交通誘導なら、火事の現場やお祭りの山車の警備で経験豊富です。
なんとか、二人でお巡りさんが来るまで無事にこなして、救急車が出発するのを見届けた後、詰所へ帰ってきました。倒れていた男性の、無事および早い回復を祈るばかりです。

ハプニングでしたが、この出来事で、二つのことを思いました。
一つは、自分達も消防団として少しは公共のために働けたかな。ということ。
もう一つは、大変なことが目の前で起こった時、すぐに行動できる人がいるんだな、ということ。
我々がたまたま通りかかるまで、またその後も、現場で交通と被害者の安全のために寒い中対応してしてくれていた人たちがいました。20代~30代の前半のカップルなどの若者達で(みんな事故の当事者ではない。)、オレンジのベストを私に貸してくれようとした男性や、電話で通報していた金髪の男性、ご主人らしき男性と一緒のお腹の大きい女性もいました。

そのまま、通り過ぎてしまうこともできたのに、何の義務もないのに、みんな一生懸命。
大変な時には、力を合わせる。
日本もまだまだ捨てたものじゃないなと実感し、突然のことで大変でしたが、少し暖かな気持ちで帰路につくことができました。

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